今年は2月2日が124年ぶりの節分で、3日が立春でした。

「りっしゅん」。美しい言葉、発音ですね。春が来る、そんな浮き浮きする高揚感があります。立夏、立春、立冬もありますが、立春がなんといっても一押しです。

 「春分の日」というのもあります。子供の頃、これを「新聞の日」と思っていました。その思いが、新聞記者への道を切り開きました、というのはもちろん嘘ですが。

 似ようなものがいっぱいありました。童謡「故郷(ふるさと)」の歌詞の中に「うさぎ 追いし かの山」が出てきます。これを「うさぎ美味し」と勘違いし、へー、うさぎは美味しいんだと思っていたこと。

 「たきび」の中には、「北風ぴーぷー」がありますが、けっこう長い間「北風ぴゅーぴゅー」と思い続けていました。本当の歌詞を知った時「ぴーぷーなんて擬音があるかい! 普通ぴゅーぴゅーだろうが」と一人突っ込んでいました。

 さらに。「どんぐりころころ」には「どんぐりころころ どんぶりこ」とあります。これを「ごんぐりころころ どんぐりこ」と思っていました。次に「お池にはまって さあ大変」という歌詞が続くので、理屈で言えばこれは「どんぶりこ」ですよね。僕の負けー(笑)

 向田邦子さんは日航機墜落事故で亡くなって、今年が没後40年。エッセイの中に「眠る杯」があります。「荒城の月」の「めぐる杯かげさして」を「眠る杯」と少女時代に勘違いしていた回想です。向田さんほどの語感、博識を持った人でも子供時代は同じなんだなと、思ったことがありました。

 成長するにつれ、言葉の語感やらリズムやら、言葉遊びが好きになりました。好きなリズムは「パルメジャーノ レッジャーノ」です。人にあだ名をつけて、惠理先生とひっそり呼び合ったりもしています。

 フランス語も美しいですが、日本語も大好きです。そして遊び心も大好きです。子供の頃は何でも遊びにしてしまうじゃないですか。言葉も同じです。成長しても僕はまったく変わらない。その気持ちはいつまでも持ち続けていたいな、と思います。

 遊び心。いいですね。ペレレイ、ペレレイ。では、また。